桃園会より20歳以下のみなさまへ

約30年前、私は中学生でした。その頃の私の1番の趣味は観劇で、家から近い横浜の相鉄本多劇場 に通いつめておりました。
横浜相鉄本多劇場はビルの中にある小さな劇場で、アンダーグラウンドな劇団(こんな社会はおかしいぞ!と主張する演劇をアンダーグラウンド演劇と呼びます。アンダーグラウンド演劇をする劇団 は、過激で幻想的な演出を好むことが多いです)が来ることが多く、雄叫びをあげる俳優さんの唾を 浴びながらの観劇は当たり前でした。血糊が飛ぶから、などの理由でカッパを着せられ観劇すること もしばしば。俳優さん達がよだれをダラダラ流し続けるのを2時間見続けさせられるという苦行のよう な観劇体験もあったりしました。劇団の方々は中学生の私から見ればおじさんおばさんばかりで、世 代の差なのか、演劇の内容が難しかったのか、ピンとこないお芝居も多く、何も分からずただぼんや りと見ているだけの事もよくありました。それでもとにかく、楽しかった。

今回の桃園会のお芝居は、血糊は飛びません。よだれも大丈夫です。きっと唾も飛びません。カッ パを着ずとも安心して観ていただけます。でもおじさんおばさんは出てきます。あの時と同じよう に、おじさんおばさんが小さく薄暗い劇場の中で演劇をします。家族について考えます。誰かの心に ついて考えます。とんでもなく難しい話にはなっていないような気がするけれど、どうでしょう、あ の時の私のようなあなたは、楽しんでくれるでしょうか。わからないなーとキョトンとしてぼんやり 座っているのかな。500円握って、ワクワクした気持ちだけ持って、あなたが観に来てくれたら、私 はとても嬉しいです。

                                   加納 亮子

 

<ものがたりのはじまり>
ここはどこだ セミが鳴いたあとの季節 ここはどこだ まっくら スポットライトが点滅し 瞼の記憶が 蘇る 歩くきみちゃん  いない いる いない 舞台上にいるわたしは食事中だ パジャマを着たわたし いない パジャマを着たわたし いない いる わたしの見ている世界にわたしがいる きみちゃんがいる いつか見た未来 いる いる いない いない あるく あるく ゆっくりときみちゃんが歩く リュック サック リュックサックせおった帰り道 リュックサックをせおったのはわたしだ パジャマ着てる 坂道 わたしがひとり坂道で 見上げる先には

 

桃園会第51回公演 『わたしは家族』
こころネットKANSAIコラボレーション企画
【作・演出】 橋本健司
【日時】 2019年9月13日(金)19:30
14日(土)15:00 /19:00 ★
15日(日)13:00
16日(月・祝)13:00
17日(火)14:00

★終演後にアフタートークあり

【会場】 ウイングフィールド TEL:06-6211-8427 http://wing-f.main.jp/
大阪市中央区東心斎橋2-1-27 周防町ウイングス6階
(受付は5階。6階入り口で靴を脱いでご入場いただきます。)

【料金】 20歳以下 500円
(予約・当日券とも同料金ですが、ご予約の方からご入場いただきますので、できるだけご予約ください。受付開始は開演の40分前からです。受付での精算時に学生証など20歳以下を示すものをご提示ください。)
一般前売・予約 3,000円 / 一般当日 3,300円 / ペア(前売・予約のみ)5,000円

【劇団サイト】https://www.toenkai.com

【ご予約】https://www.quartet-online.net/ticket/toenkai51