自分が二十歳の時は何を考えていただろう。
十代の頃はとにかくもてたいという気持ちと、強く見せないといじめられてしまうという恐怖心、結局、激しくいじめられてしまったわけだけど、それだけだったかもしれない。
二十歳の頃の生活を具体的に思い出してみると、朝から夕方まで焼肉屋でアルバイト、まかないで焼肉が食べられるともくろみ、見事に毎日ハラミを食べていた。夕方から喫茶店で読書、この頃に本を読み始めた。中学生の頃に、好きな子が図書委員という理由で図書室に通ったことはあったが、実際は『ウォーリーをさがせ!』を毎日していた。約一時間、夢中で本を読んで、夜は演劇の練習。ちなみに初めての読書体験は司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』、坂本龍馬気分で毎日を過ごしていた。そして、週末は観劇。金曜日一本、土曜日二本、日曜日一本の週四本、この生活を二、三年は続けただろうか。もちろん、お金がなくなる。微々たる焼肉屋さんのお給料は全て観劇に消え、家では、劇場でもらったチラシをベッドに、もっぱらお好み焼きを食べていた。キャベツはかろうじて入っていた記憶がある。観劇と豚肉を天秤にかける毎日、それでも幸せだった。いや、幸せなんだろうかと考えることなどなく、ただただ夢中だったんだと思う。
そんなわけで、チケット代、五百円です。
もしこの時代に、私と同じように演劇に魔法をかけられてしまった少年少女がいましたら、ぜひ劇場に遊びに来てください。
橋本健司
桃園会第49回公演 『ふっと溶暗~断象・ふかつしげふみより~』
【作・演出】 橋本健司
【日時】 2017年 2月11日(土) 19:00 / 12日(日) 12:00 / 16:00
【会場】 アイホール 伊丹市伊丹2-4-1 TEL:072-782-2000

【料金】 20歳以下 500円

(受付にて20歳以下であることを示すものをご提示ください。ex:学生証)
一般前売 2,500円 / 一般当日 2,800円
【ご予約】 https://www.quartet-online.net/ticket/toenkai49